【妊活ラジオvol.54 】 着床前診断(PGS)について医師が解説|後半

こんにちは!大阪で顕微授精にチャレンジしている あや子です。

不妊治療の最先端技術について取り扱うラジオ番組、
「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~」

2019年4月14日に配信された
第54回目の放送では、今話題の
「着床前スクリーニング」について取り上げられました。

情報量が多すぎたので、
記事を前半と後半の2つに分けています。

前半の記事はこちら!

【妊活ラジオvol.54 】 着床前診断(PGS)について医師が解説|前半
あや子
今回の記事では、
その回の放送内容(後半)を、まとめてみたいと思います!

 

着床前スクリーニングって何?

  • 別名PGT-A、PGSとも呼ばれる。
  • 着床前診断の一種。
  • 卵子の老化などによる染色体数の異常が原因の流産を防ぐ。
  • 女性の心と身体を守る手段だが、日本では許可されていない。

 

前半の内容おさらいはコチラ。

着床前スクリーニングとは…

  • 流産しないための検査
  • 卵子の老化による染色体異常が原因の流産を防げる
  • 戻しても生まれない胚を見分けているだけ
  • 胎児への影響はない
  • 世界の70%の国が認めている技術
  • 日本ではまだ許可されていない
  • 倫理上の問題が大きな壁

 

そして後半では、
着用前スクリーニングについて、以下のような話が進んでいきます。

 

着床前スクリーニング(PGT-A)とは

  • 38歳以上・習慣流産のある患者さんに非常に有効な検査
  • 35歳くらいだと、正常な胚盤胞は半分くらい。
  • 38歳だど3分の1、41〜42歳だと5分の1が正常な胚盤胞。
  • 習慣流産の患者さんは、若くても染色体数の異常な割合が多い。
  • PGT-Aで問題のない胚を戻しても、妊娠率はMAX70%程度。
  • 胚の問題だけでなく、着床の問題などもある。
  • 日本は治療年齢が他の国より高く、PGT-A許可が待ち望まれている。
  • 専門家だけで議論が行われ、現場の声が考えられていないのでは?
  • 流産を繰り返すことで妊娠しにくくなることも。

 

あや子
それでは、放送されたラジオの内容(後半)を見ていきましょう!

ラジオの登場人物をおさらい

あや子
今回ラジオに出てくる登場人物のおさらいです。

 ①西村華奈穂さん(アナウンサー)

この番組のナビゲーターで、
フリーアナウンサーの西村華奈穂さんです。

お声がとっても素敵でした♪

あや子

②松岡俊樹さん(工学博士)

スペイン発の不妊治療を専門とした
遺伝子検査会社「アイジェノミクス・ジャパン」の技術責任者で、
工学博士のトシさんです。

トシさんのラジオでの発言は、
この記事の中で、
このような枠で囲んでいます。

・着床の窓を調べるERA検査
・着床前診断
などを行なっている会社の偉い人です。

あや子

③小柳由利子先生(産婦人科医)

不妊治療の最前線、東京ハートクリニックで働いていらっしゃる産婦人科医の先生です。

Twitter(@yurikoyanagi)でも、
不妊治療について情報配信をされています。

小柳先生のラジオでの発言は、
この記事の中で、
このような枠で囲んでいます。

小柳先生!いつも情報配信ありがとうございます!

あや子

 

ラジオも後半戦がスタート

西村アナ

「妊活ラジオ〜医療の気になるアレコレ〜」

今日はゲストに東京ハートクリニックより小柳由利子先生にお越し頂いております。

先生、後半もよろしくお願い致します。

はい、よろしくお願いします。

西村アナ
先生、もう情報量がですね、すごーくたくさんあるのですが・・・。

後半(は、どうでしょう)、トシさん。

そうですね。

 

後半は、その(PGT-Aの)有効性について、お話しを伺っていきたいと思います。

着床前スクリーニング(別名PGT-A、PGS)の有効性について

38歳以上の方・習慣性流産のある方に非常に有用

先生あの、着床前検査の有効性なんですが、詳しくお願いできますでしょうか?

はい。

 

先程も(前半でも)話した通り、

大規模な報告では、

・38歳以上

・習慣流産のある患者さん

に対して、(PGT-Aが)

非常に有効であるということが分かってるんですね。

 

実際、体外受精で(問題となるの)は、

「着床の問題」

「卵側の、胚の方の問題」

の2点しかないんです。

 

しかし、

綺麗な卵であっても、着床しないということがよく起こります。

 

グレードが良い胚を移植しても着床しない理由

そして、(綺麗な卵でも着床しない)理由というのが、(胚の)染色体異常になってきます。

 

そして(PGT-Aで調べることができる染色体の数の異常は)、年齢とともにその割合が上がることが分かっています。

 

35歳ぐらいだと、

胚盤胞の50%ぐらいが(染色体が)正常(な胚)です。

一方、38歳くらいだと1/3、

41〜42歳になると1/5という風に、

 

年齢と共に(染色体の数が)正常(な胚)の割合が下がることが知られています。

 

また、習慣流産の患者さんなどでは、若くてもその(染色体の)異常な割合が多いということが分かっています。

 

 

子宮側の問題

着床の窓を調べるERA検査

あと、少し話はそれますが、

 

「実際、体外受精で(問題となるの)は、
・着床の問題
・卵側の、胚の方の問題
の2点しかない。」

 

と(先ほど小柳先生が)おっしゃっていましたけれども、

私達の(会社が行っている)ERA検査はですね、着床の問題について検査することができるんです。

いい卵であっても、

着床の窓という(着床できるタイミング)が(人と)ズレてると、
どうしても、着床できない、妊娠できないと(いうことが出てきてしまいます)。

 

なので、こういう場合は、

私達のERA検査という(着床の窓を調べることができる検査)がすごくいい検査だと思っています。

子宮内の細菌叢を調べるEMA,ALISE

あと、(着床の窓を調べるERA検査の他に)、

(子宮内の細菌叢のバランスを調べる)EMMA

(慢性子宮内膜炎の原因菌の有無を調べる)ALISE

 

という、子宮内の細菌叢を調べる検査も、私達出しております。

この細菌叢っていうのはですね、
「子宮内にラクトバチルス菌が多い方が、より良いですよ」というのがメッセージなんです。

 

何故多い方がいいかというとですね、病原菌が(子宮内に)入って来ても、
それが増えないようにする環境を作るのが、ラクトバチルス菌だからです。

ということで、子宮内の細菌叢検査(である)、EMA、ALISEという検査を行なっています。

 

ちょっとすみません、紹介させてもらいました。

着床前スクリーニング(別名PGT-A、PGS)のデメリット

染色体が正常な胚でも100%着床するとは限らない

そして話は再び、着床前スクリーニング(PGT-A)に戻っていきます。

西村アナ
PGT-Aで染色体を調べて)正常(だった)胚(だからと言って)、100%着床するとは限らないというお話・・・・なんですよね、先生。

はい。

実際、世界中の報告でも、妊娠率が70%というのが一番いい報告なんです。

 

どうしても(PGT-Aの検査で調べた)正常胚を戻してもつかない場合があると言われています。

 

その理由の一つが、その先ほど(トシさんがおっしゃっていた)着床の問題なんです。

 

けれども、それ(トシさんがおっしゃっていた着床の問題)以外にも、

 

PGT-Aの検査によって)

 

・細胞が少し減ってしまうので、胚のグレードが下がるのでは?

・免疫的に何かちょっとダメージを受けることで、子宮の内膜に拒絶されやすくなるのでは?

 

というような仮説もあるんですね。

 

その他の原因を解明するための検査でもある

なるほど、(PGT-Aの検査で正常だった胚を戻しても妊娠率はよくて70%なんですね)。

 

では実際、100%の妊娠率を目指すにあたって、

20〜30%のところはまだ未知な部分 が入っているということですよね。

そうなんです。

 

逆に、(PGT-Aの検査をして)正常な胚を戻してみないと、着床の問題については分からない部分があります。

 

なので、着床(が上手くいかない原因)の解明にも、正常胚を戻すということは重要になってくるんですね。

 

だからこの技術は治療でもあり、医療の進歩には必須の技術であると考えられます。

 

着床前スクリーニングに対する小柳先生の想い

あや子
先生。

実際に、日本で(PGT-Aの検査が)行われるためには(どうしたらいいのか)

っていうところと、

先生のこの件に関する想いを是非、

皆さんにお話しいただけると嬉しいんですが。

現場の声や患者さんの苦しみが考えられていない

はい。

 

日本ではまだ議論が難航していて、正式なやり方で、この(PGT-Aの)検査を受けることはできない状況なんです。

 

けれども、実際には日本は治療年齢が他の国よりも高かったりするので、(卵子の老化による染色体数の異常を調べられるこの検査は、)すごく需要はあるんですね。

 

それに、少子化の対策にもなると思います。

 

でも、どうしてなかなか議論が進まないかと言うと、

やっぱり専門家の間だけで色々議論をされてるからなんです。

 

「現場の声」というのが実際にあまり考えられてないと思うんですね。

 

ある専門家の中には、

「流産は、繰り返せば累積妊娠率は、同じなんだから、流産を繰り返せばいいんだ」

みたいな風に言う人もいるんです。

 

けどやはり、患者さんはお金も時間も費やして不妊治療をしています。

 

そういう中で、妊娠した喜びから、突然の流産という(ことになると)、

すごく精神的にも苦痛が大きいし、まぁ身体的にも、すごく大変だと思うんですよね。

 

そういった患者さんの苦しみみたいなものが、なかなか世の中に伝わっていないなと思います。

流産を繰り返す事によるデメリットも

それと、あとは実際医学的にも、

流産を繰り返すことによって、

 

・卵の質が下がる

・子宮の内膜がだんだん薄くなる

 

ことがあるんです。

 

流産を続けてるうちに、

着床すらしなくなってしまうというような患者さんも実際には多くいらっしゃるんですね。

 

なので、なるべく流産しない胚を戻すということが、子供を産めるかどうかの重大な未来に関わる問題になってきます。

 

そういうこともあまり知られていないので、私たちもこういった正しい理解を促すということが必要だと思います。

ありがとうございます。

 

本当にね、もうあの、今私話聞いて、

 

日本でできないこの(PGT-Aの)検査ですけれども、

本当に速い段階で次のステージに行かないといけないんじゃないかと思います。

 

で、今って私達の検査会社でさえ、患者さんから電話がきます。

 

「このPGS(PGT-Aの別名)をしたいんですけど」

ということを振ってくるんですけれども、私達も紹介できないんですよ。

 

本当は(PGT-Aの検査は)海外でしかできないので。

 

で、患者さんも分かってて、海外でしかできないの分かってて(電話が)かかってくるんです。

けれども、やっぱりその後ろにあるのは、
・こういった現場の声
そして、
・流産になってしまうことによる影響
ですね。

 

そういったものがあるっていうのが、私、ちょっと詳しくは知らなかったんですが・・・。

現場の医師が患者さんの想いを代弁することも重要

 最近は、患者の会があったりとか、キャンペーンとかを通して(患者さん側が想いを)主張するということも可能な時代ではあると思うんです。

 

けれども、やっぱり患者さんが自分の体験を告白するのは、勇気がいることだと思います。

 

なので、現場の医師である私たちが、代表して患者さんの考えをこうやって公共の電波で伝えるということは、やっぱり一つの大きな役割なのではないかと思っています。

次週予告

次週はですね、今日ちょっと話せなかった(もう1つの着床前検査である)PGDについて、もう少し詳しく話ししたいと思っています。

 

片方の(親の)、例えばX染色体に傷が付いていた場合に、

男の子が産まれると、男の子が病気になってしまうようなものがあります。

 

このPGDの検査はですね、今回お話したPGS(PGT-Aの別名)の検査とは違い、

2004年に、日本でも初めて実施が認められています。

で、施設数は徐々に増えて、現在は54施設でPGDを行うことができます。

 

なのでその辺りを、もう少し詳しく、症例と合わせてですね、ご紹介できればと思います。

 

どうぞよろしくお願い致します。

西村アナ
そして更に先生、来週は、その PGD に関する患者さんのお声もご紹介いただけるんですよね?

はい。

 

Twitter を通して実際の患者さんの声をメッセージで募集しました。

 

その中から二つご紹介させていただきたいと思います。

西村アナ
さて、お時間となりました。

今日は東京ハートクリニックの小柳由利子先生とご一緒にお届けして参りました。

来週も先生と一緒に遺伝病と受精卵について、それから PGDに関する患者さんの声を紹介していきたいと思います。

それでは来週、同じ時間にお会いいたしましょう。

まとめ

ラジオを聞いてみて、着床前スクリーニング(別名PGT-A、PGS)必要性について、詳しく知ることができました!

しかし日本ではまだ許可されておらず、実施した医師は処罰を受けてしまうような現状です。

(2017年、神戸の大谷レディースクリニックの院長が検査を実施したとして、日本産科婦人科学会から除名処分を受けています。)

参考 日産婦 神戸の医師を会員資格停止 着床前検査違反でデジタル毎日

私も、神戸の大谷レディースクリニックの先生がおっしゃる通り、

「妊娠しやすくて流産しにくい治療を受けることは、患者様の基本的人権です。」

という言葉が、全てだと思います。

 

着床前診断のうち、
着床前スクリーニング(別名PGSPGT-A)について、前半で分かったことはこちら。

前半で分かったことまとめ

  • 流産しないための検査
  • 卵子の老化による染色体異常が原因の流産を防げる
  • 戻しても生まれない胚を見分けているだけ
  • 胎児への影響はない
  • 世界の70%の国が認めている技術
  • 日本ではまだ許可されていない
  • 倫理上の問題が大きな壁
【妊活ラジオvol.54 】 着床前診断(PGS)について医師が解説|前半 そして、後半で分かったことがこちら。

後半で分かったことまとめ

  • 38歳以上・習慣流産のある患者さんに非常に有効な検査
  • 35歳くらいだと、正常な胚盤胞は半分くらい。
  • 38歳だど3分の1、41〜42歳だと5分の1が正常な胚盤胞。
  • 習慣流産の患者さんは、若くても染色体数の異常な割合が多い。
  • PGT-Aで問題のない胚を戻しても、妊娠率はMAX70%程度。
  • 胚の問題だけでなく、着床の問題などもある。
  • 日本は治療年齢が他の国より高く、PGT-A許可が待ち望まれている。
  • 専門家だけで議論が行われ、現場の声が考えられていないのでは?
  • 流産を繰り返すことで妊娠しにくくなることも。

 

少し内容が難しかったと思いますが、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

【おしまい】